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手当てを受けて教室に戻ると、教室中の注目を集めた。
一限目は現国で、担当は学年主任だ。
「怪我は大丈夫なのか?」
開口一番に言われた。事情は通っているらしい。
「たいしたことありません。」
それだけ言って席に戻る。
先生はまだ何か言い足そうだったが、あえて無視した。
授業が終わると先生に呼ばれる。
「本当に大丈夫なのか?上履きならまだしも、怪我までくると…。」
言いたいことはわかる。警察沙汰にはなりたくないのだろう。
弥生だって警察はごめんだと思っていた。
「大丈夫です。自分でなんとかしますから。それに、いざというときはた…稲生先生が助けてくれるでしょうし。」
そう言うと、学年主任の眉毛がピクリと上がる。
「あの若造に何ができるんだか。」
何か刺のある言い方だ。稲生は昔から年上に嫌われるタイプなのだ。
とくにこういう頭の固い、古い考えの人に。
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