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「帰還の護符を使え!」
キョウはノエルの側まで駆け寄るとそう叫んだ。
「あれ…ないよ…」
もしかしてさっきの場所…
さっきまでノエルがいた場所…あった!
闇の炎に浴びせられ帰還の護符は散り散りの灰になっていた。
「…うそ…そうだ!キョウあんたの護符は?」
「あるわけねーだろ。」
こいつ忍び込んだんだっけ。
もうダメ…私こんな所で死ぬの?
その時、おもむろにキョウが前に踊り出た。
「ちっ…しょうがねえな…ノエル下がってろ」
そういってキョウは剣を抜く。
「なにやってるの!?あんたに勝てるわけないじゃん!早く逃げて!!」
「いいから隠れとけ…ほらダークストームが来るぞ!!」
闇の霧はさらに濃くなり、もう見えるのは手の届く範囲だけになった。
その狂暴な闇は一斉にキョウに降り注ぐ。
「キョウーー!!」
ノエルは力の限り叫んだ。
自分の無力さを噛み締めながら……
徐々に霧が晴れてくる。
その闇の中でキョウは立っていた。
「ってーな…やっぱノービスじゃキツイ…」
「…っえ?なんで生きてるの??」
「命の恩人に対してそのセリフ…ひどくない?」
ダークストームが弱かった?そんな訳ない。あの狂暴な闇を目の前で見せられたのだから…
「あっ…なにその盾。」
いつの間にか、キョウの左手には見たことのない盾が握られていた。
「さすがにこいつがなかったらヤバかったな…」
いつ装備したのだろう?というかそもそもそんな盾持ってきてた?
キョウの上半身を丸々覆う巨大な盾で中心には見たこともない文様の呪文が描かれていた。
ノエルは毎日色々な生徒を見て来たが、そんな盾を持っている者など見たことない。
ノービスといい、未知の武具を持つ者…
…キョウ。あなたは何者?
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