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「つ、強すぎるよ…」
絶望的な声でノエルは呟く。
いくらキョウでもクロムハーツには…
その時、キョウが立ち上がった。
「くそ…剣が…折りやがたな…」
ローグは下品に笑いながらキョウを見下す。
「ははは!そんなに大事な剣だったのか?残念だったな!!」
キョウはローグを睨みつけた。
「お前何もわかってないくせに…壊れる寸前で銅塊にしようと思ってたのに!よくも折りやがったな!!」
そう言ってローグに向き直った。
「……っは?なにそれ??怒る理由ってそこ?」
ノエルは今の状況も忘れるほど呆れた。
ローグの瞳に殺意が篭る。
「貴様、俺をなめるのも大概にしろよ…。
徒手空拳で俺に刃向かうつもりか?」
「ちっ…しゃーねーな。あれを使うか。」
そしてキョウは叫んだ。
「ツヴァイーー!!」
キョウの体が一瞬にして霧に包まれる。
数秒後、徐々に晴れていく霧の中でキョウの姿と見慣れないモノのシルエットが浮かび上がる。
「なんだ…?あれは…どこから取り出した?」
ローグの顔が驚愕に変わる。
ノエルもつられて声を出す。
「片刃の剣?」
およそ見たことのない剣だった。
「なんて綺麗な剣なんだろう…」
その剣は芸術品のようだった。
決して華美な装飾を施している訳ではない。
整の取れたゆるい曲線から剣先に到るまで染み一つない白刃。
無駄な物を剃り落としたような細身の刃はシンプルながらも黄金比で計算しつくされたような本能的な美しさだった。
キョウが話始める。
「こいつは妖刀村正。倭の国の高名な鍛治職人が魂を込めて打った逸品だ。
そこらの剣と錬度が違う。強度も切れ味もケタ違いだぜ。
ただ何代もの人の手に渡り人の血を吸い続ける内に魔力を帯びて…今じゃ妖刀なんて呼ばれてるけどな。」
「キョウ!そんな物一体どっから取り出したのよ!?」
「あー……エルアークとの回線を無理矢理広げてもらった。ここじゃリンクが弱いから本当はやっちゃいけないんだけど。」
え、エルアークだって!?
ローグが口を開く。
「てめえ、奇妙な手品でそれを取り出したはいいが…そんな線の細い剣でやるのかよ?また折れてもしらないぜ。」
キョウは口の端を吊り上げながらこう言った。
「試して…みるか?」
…第2回戦の始まりだ。
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