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「キャー!お帰りなさい!!」
一際目立つ大きな門からは重々しい鎧に包まれた4人のパーティーがこっちに向かって歩いていた。
「誰だ?あいつら?」
少年はノエルに尋ねる。
「あ、そうか…あんた来たばっかだから知らないんだね。…ちょうど魔防門から帰ってきたみたいだね。」
…クロムハーツ。
6年生の先鋭で構成されたPT。一流の技と体力を持つ彼等は名実共に学園の頂点に君臨する。
女隊長レイチェルを筆頭に豪傑鉄槌ことローグ、氷の王子と囁かれるルウェイン、レンジマスターのカルティエ…
実力も去ることながらそのルックスからカリスマ的な人気を博している。
「あいつら…気に入らねぇな。」
「あんた…それただのひがみだよ。」
そんなやり取りをしていると…後ろからドスの効いた声がした。
「おい。邪魔だ…どけ。」
恐る恐る後ろを振り返ると……
ロ、ローグ!?
クロムハーツのメンバーがすぐそこにいた!!
「こっちは白翼の死骸を引きづってるんた。どけ。」
ノエルは反射的に身を翻す。
「はい!ごめんなさい!!」
その時また別な方向から声が聞こえた。
嫌な予感がする。
「おい、オッサン。」
あの少年だった。
「あんたの方が邪魔だ。」
(ギャー!!何考えてるのよ!この小僧は!!)
「あ゛!?」
ローグは額に血管を浮かべながら少年を睨みつけた。
すかさずノエルが口を挟んだ。
「ごめんなさい!この子来たばっかりで何も知らないんです!」
「黙ってろノエル!」
(ああ…またこいつは余計な事を…)
するとローグは
「…ノエル?」
ノエルの名を口にした。
「そうかお前があの有名なサウザントスローターか」
「…っは?」
これにはノエルが反応した。
(サウザントスローター?)
ローグは嫌な笑みを浮かべ、口を開いた。
「初心者のくせに鎚をブンブン振り回し、仲間に当てる…このままだと『仲間を』千人くらいは殺しそうだってな」
ノエルは知らなかった。
そんな不名誉な名で呼ばれてるなんて…
(そっか…だからPTが集まらなかったんだ…)
ノエルの瞳にうっすらと涙がたまった。
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