13人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、オッサン。」
少年の瞳は鋭い眼光に変わっていた。
「…てめえ。死にたいのか?」
少年は腰の鞘から剣を抜いた。
「抜け。女を泣かす奴は最低なんだよ。」
「くっ…ははは!なんだそのなまくらは!そんな獲物で俺を斬るつもりか?」
「いいから抜けって言ってるだろ?お前ならこのノービスソードで十分だ」
「ノービスソード?そんな聞いたこともないなまくら刀で俺を倒すつもりか?小僧…死んでも後悔するなよ。」
その時だった。
「そこまでだ。」
鋭く透き通った声が通りに響いた。
「ローグ、お前何をしている?」
女隊長のレイチェルだった。
「何ってこいつが因縁をつけてくるから…」
「貴様は阿呆か!我々の目的はデモノイドから人類最後の街を守ることだろうが!そのために防衛学園が存在する。人間同士で争う余裕がどこにあるのだ!?後の戦力を自らの手で削るなど愚かさの極みだ!!」
「チッ…わーたよ!」
そういうとローグは大きな鎚を背中にしまった。
「…小僧命拾いしたな。」
「ケッ!」
悪態をつきながら少年も武器を納めた。
レイチェルは少年に向かって口を開いた。
「お前、名をなんという?」
「…京-キョウ-だ」
「キョウ…その名、覚えておこう。」
そう言ってクロムハーツは去って行った。
残された観客はノエルを含めてその一部始終を呆然と眺めていた。
ノエルが呟く
「…キョウ。」
「なんだ?」
「…って変な名前ね。」
「うるせーほっとけ。」
ノエルは言いたい事がいっぱいあったが、今はキョウに向かって言えたのはそれだけだった。
─See you Next phase─
最初のコメントを投稿しよう!