2nd Scene

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講義始まりのチャイムと共にノエルは教室に飛び込んだ。 いつもの歴史の講義だ。 ノエルが息を整えると歴史の先生が話しかけた。 「何だ…今日はノエル君一人か。」 辺りを見渡すとノエル以外一人もいない。 「そしたら今日は雑談でもしますか。」 「はあ…」 ノエルが気のない返事をすると、先生が話し始めた。 「ノエル君、本は読むか?」 「あ、はい…少しは…」 「私も読書が好きでよく古い書物を読みあさるのだが…最近おかしな事に気付いたんだ。」 「おかしな事?」 「100年前より以前に執筆された本がないのだよ。」 「いくら学園でも古書物までは用意出来なかったって事ですかね?」 「しかし約90年くらい前の書物はあるんだ…そこで独自で調べたのだが……存在した形跡がないんだ。」 「存在した形跡がない…?あの、意味がわからないんですけど?」 「そこで、100年前には何があったでしょう?」 先生はノエルの質問を無視して再度尋ねる。 「100年前…あ、大崩壊……。」 もちろん神話の中の話だが。 「そう大崩壊の神話と奇妙にシンクロするんだ。」 「もしかして大崩壊は現実に存在…した?その時に書物が消失した…とか?」 「うん。私もそう思った。しかし、もし大崩壊が起きていたら…こんなに自然が残されていただろうか?」 「う~ん…」 先生は一冊の本を取り出した。 「ここにあるのは約100年前の最古の書物、エルアークだ。著者はディーファ。 これによると大崩壊を迎えた人類は、持てる技術を集結して箱舟を創造した。とある。」 箱舟神話…ディーファ… 「しかし、この手記によると箱舟は全人類を乗せるにあまりに小さ過ぎるんだ。 …もしかしたら箱舟は世界を創造していたのかもしれないな?」 「世界の創造!?それこそ神話じみてませんか??」 「まあね。…でも古書物の件とも照らし合わせると…この仮設が1番筋が通るんだよ。」 ノエルは息を飲んだ。 世界の創造…馬鹿げた話が急に息をし始めたみたい。 とんでもない雑談だった。
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