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「なぁ、運命って信じるか?」
突然真面目な顔をした君の、らしくない表情に笑いが零れてしまう。
「急にどうしたの?」
笑う俺を見て、頬を赤らめて口を尖らせる君はどうしようもなく愛しい。
「さっきさ、ふと思ったんだけど、俺とお前が出会ったのって運命だったんじゃないかなって。」
ちょっと間を置いて、考えるようにしながら君は言う。
「出会ったのはガキの頃だったけど、それは神様がくれた運命だったんだよ。」
「…それで?」
「んー…だから、ずっとずっと俺はお前の隣りにいるよって話!」
真っ赤になって可愛い、と思ってたら頭を掴まれてそのままキスをされてしまった。
不意打ちなんて、ズルい。
そんなことを思いながら、ついついキスの心地よさに酔ってしまう。
君は離れると、俺の顔を一瞥した。
「お前、顔赤すぎ。可愛くて、惚れ直すんだけど。」
「顔の赤さなら、負けてないよ?」
クスクス笑いながらつん、と鼻をつついてやると君は照れたように微笑んだ。
このままずっと君といれるのならば、運命ってやつを信じても良いかな、って思ったけど…。
こっそりと胸に、
だけど大事に、大事にしまっておくことにしておいた。
fin
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