満月の夜

5/14
前へ
/193ページ
次へ
授業が始まり、周りはしんとした状態で、先生がチョークで黒板に書く音ぐらいしか聞こえない。 空は今日大地とどこに行くかしか頭に入らなかった。教科書とノートは開けたままで、シャーペンを持たずにボーッとしていた。 空の席はほぼ真ん中。大地はその右2個隣で、花梨は空の後ろの席だった。 みんな集中している中、1人ボーッと前を向いていたので、先生はため息をついてチョークで空を指した。 「鈴宮、ここを読んでみろ」 低く空の名前を呼ばれ、我に返った空は慌てて教科書を見る。だがページが分からなくただ慌てているだけだった。 ふと大地が口パクでページを教えてくれてるのが目に映る。空はそのお陰で読むことが出来た。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加