5人が本棚に入れています
本棚に追加
待ちに待った至福の時…。
のはずが、一転。
湯舟は芯まで温まらないギリギリの絶妙な温度…。
肩まで浸かるが生ぬるさには変化は無い…むしろ冷たいくらいだ…。
湯舟のお湯がこんなにぬるくなったのも、元を正せば全て!あのプロレスオタクがいけないのだ。
俺はぬるいお湯で手早く頭を洗い流すと、近くにあった石鹸と垢擦りで体を洗う。
そして最後に桶一杯のお湯(ぬるま湯)で仕事の汚れと疲れを洗い流した。
「ぬるい……」
髪の先から滴り落ちる水滴を見つめながらしみじみ呟く…。
体が冷えない内に部屋に戻るため俺は、バスタオルで素早く全身を拭き、髪の毛の水分を取ると、バスタオルを首にかけてトランクスを履いた。
そこで俺はあることに気付いた……。
「パ、パンツしか無い…。」
全く迂闊だった……
早く風呂に入りたい一心で、肝心の服とズボンを部屋に置き忘れて来てしまったのだ…。
どうする…
どうする…!
パンツ一丁でどれほど考えても部屋までほぼ0℃の道のりを、ぬくもりを感じたまま戻る術は今の俺には見つからなかった。
もう残された道は一つしか無い…
最初のコメントを投稿しよう!