*序章*

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午後1時。 あっという間の1時間。 彼女は読み掛けの本に真っ白なしおりを挟むと 『それじゃ、行きますね。』 とだけ告げて立ち上がった。 横に添えられた傘を大事そうに手に取ると、彼女は公園から去っていった。 『はぁ~~~。』 昼下がりの公園に響くため息。 俺は頭を一掻きすると空に顔を向けた。 今日は悔しいほどの快晴だ。 『何話せばいいんだ……。つーか、何がしたいんだよ…俺。』 25歳になった阿部は、恋をしていた。 真っ白なしおりの似合うあどけなさの残る彼女に。
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