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空腹に負けて水をグラスに一杯飲んでしまった僕は、あと何日分の生を得たんだろう。
薄羽蜻蛉は成虫になると水しか取らない。あれは、一日かそこらで死ぬんだったか。
人と虫を比しても時間の無駄だ。もうすぐ終わる生なら、もっと違うことを考えたい。
もし答えの出ない問いにぶち当たって、もう少し考える時間が欲しくなったら、またもう一杯だけ水を飲めば良い。
少し眠くなってきた。
もしこのまま眠って目覚めることが無くても、それはそれで構わない。
でもたぶん、目覚めるんだろう。そして何を考えるべきかを考え始めるんだろう。
瞼が重くなってきた。
透明できらきらと輝く羽が
ゆっくりと
開くのを見た気がして
僕は
眠りに
ついた。
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