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西暦2097年、化石燃料を使い果たした人々には新たなエネルギー源が必要になった。
いずれこうなる事は誰もが予想していた事もあり、20年前に計画した大規模な太陽光エネルギーを主体とした、自然エネルギーを主流とする計画が成功した事を支えに、何とか持ちこたえて来た。
後何百年かはこのまま自然エネルギーで生活を補い、それ以降太陽が燃え尽きる時が来るまでには新しいエネルギー源を新たに確保しようと考えていた。
が……悲劇は起きた。
突如として現れた流星群の一つが太陽と衝突。
破壊――とまではいかなかったものの、太陽の寿命を著しく縮めた。
後数十年もすれば完全に燃え尽きる程にまで……
世界の中心的なエネルギー源であった太陽光が無くなる今、誰もが絶望した。
しかし神は人々を見放さなかった。
西暦2102年、再び大規模な流星群が太陽を襲った。
この事で完全に太陽は力尽き、いよいよ人類には死期が訪れたと思われた。
が、奇跡は起きた。
太陽に降り注いだ流星群の内、三つが地球にも飛来したのだ。
すぐさま駆け付けた調査隊は驚くべき発見をする。
地面との衝突で作り上げたクレータは驚く程の大きさにも関わらず、その中心にあるのはビー玉程の琥珀色をした石だった。後にマナ(神の産物)と呼ばれるこの石には考えられない程高密度なエネルギーを半永久的に放出する特性がある事分かったのだ。
すぐさま人類はこのマナの量産化の研究を始め、やがてその一年後の西暦2103年には完全疑似太陽を空に打ち上げるまでになった。
それまで主流だった電気、ガス、石油などは無くなり、変わりにマナが主流になった世界。
壊滅状態の時には互いに手を取り合って停戦状態だった各国も、国の生活、経済が安定の兆しを見せると共に、あろう事か競い合うようにマナの軍事化に力を入れ始めたのだ。
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