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---すごい!空を走ってる!
レイセンはその現実に一瞬夢心地になるが、ユニコーンが急降下を始めた為、すぐに現実に引き戻される。
「ーーー!」
レイセンは落ちていくような錯覚にとらわれ、目を閉じて必死にシェイドにしがみついた。
そして、突然落ちていくような感じではなくゆっくりと気球で降っていくような感覚に変わり、やがて止まった。
「着いたぞレイセン」
シェイドのその言葉と共に、レイセンの体は一瞬の浮遊感と共に地に足が着く。
どうやらシェイドにユニコーンから降ろされたようだ。
レイセンは未だに目を閉じていたがゆっくりとその目を開いた。
「わぁ………!」
思わず、感嘆の呟きを漏らしてしまった。
だが、それも無理もないだろう。
何故なら、レイセンの目の前には青く光る海の星…『地球』が溢れんばかりの輝きを放ち、月面を照らしていたのだから。
「…どうだレイセン。
綺麗だろ?ここは月で一番地球が良く見える所なんだ」
レイセンとシェイドとユニコーンの周りは月の都ではなく、見渡せるほどの青白い月面。
月の都は、レイセン達の後ろの遥か遠くに見えた。
「…レイセン。
あの輝きを見ていると小さい事なんか忘れられないか?俺は忘れられるな…。
地球の大きさは月よりずっと大きく…寛大だ。
あの光りも地球の優しさを表している。
俺はそう考えているんだ」
空気を読んだのか、いつの間にかユニコーンはいなくなっていた。
この広い月面に…二人だけ。
その時間が何故かレイセンには堪らなく愛おしかった。
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