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少年は頭をかき、やがて自分にしがみついている兎の背中をぽんぽんと叩いた。
「ふぇ………?」
「ほら泣けよ。
その様子だと悲しい事があったみたいだからな。
悲しい事を忘れるには泣くのが1番だ。
だから…自分の気が済むまで泣け」
兎は耳に心地よく響くその少年の声に
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
さらに一層声を張り上げて泣いた。
それからどのくらい時間が経ったのだろうか?
兎は少し落ち着き、うるさい泣き声は小さい嗚咽だけに変わった。
「ちょっとは落ち着いたか?ガキ」
少年は兎の視線と同じくらいの所にまでしゃがみ込み、兎の顔を覗き込んだ。
そこでやっと兎は少年の姿が明らかとなる。
まず髪も透き通ったその瞳も全て鮮やかな蒼色をしている。
そして腰にもまた、蒼い刀を下げていた。
「貴方…誰?」
「普通自分が名乗ってから聞くもんじゃないのか?
まぁ良い。
『シェイド・スダルサナリアサタン』だ。」
シェイドと言った少年は兎の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「お前は?」
「私……?
私は『レイセン』」
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