81人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、この一日でシェイドとレイセンはいろいろな場所へ行った。
あらゆるお店を回ったり、公園に行ったりといつも宮殿にいたレイセンには初見の物ばっかで心をくすぐられた。
さらに目的地に向かっている間にもシェイドはレイセンに面白い冗談などを言ったりして、とにかくレイセンは退屈をしなかった。
「桔梗、これありがとう!」
「シェイドだ」
レイセンはいつまで経っても自分のあだ名を認めないシェイドにしかめっつらをしながらもすぐに笑顔を取り戻し、手にある物を見つめた。
それは、蒼い隕石で作られた兎のキーホルダー。
シェイドが公園で、作ってくれた物だ。
蒼い隕石を降らせ、蒼い刀を抜き短時間でこれを作り上げたシェイドをレイセンは横から見ていたが、あれは間違いなく匠の技だったとレイセンは一人で頷く。
「どうだ?満足したかレイセン」
シェイドの問いにレイセンは考える。
確かにレイセンにとってシェイドとの一時はとても楽しい物だった。
しかし、レイセンの心にはまだ、ぽっかりと虚しい穴が空いていた。
「…まだ満足しないみたいだな。欲張りな兎だ」
シェイドはそんなレイセンの様子を見て溜息をつく。
最初のコメントを投稿しよう!