適当探偵

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「私はね、楽して稼ぎたいんだよ。立派な探偵になりたいわけじゃないが、世間からは立派であるといわれ崇められたい。明智小五郎になりたいが、怪人二十面相なんかと対決するのはまっぴらごめんだ。つまり、ノーリスクハイリターンを求めているわけだよ」 パイプの代わりに一般的なタバコをくわえ、いかにもなジャケットを意味もなく着くずし、読めもしない英字新聞を雰囲気だけで広げながら偉そうに語っているこの人が事務所長だ。 神野欧介、歳はたぶん30過ぎくらい。 この人が営んでいるこの事務所は一応探偵事務所で、僕は助手であり雑用係をしている。 だから僕はこのダメダメ人間を先生と呼ばされている。 「私の気持ちがわかるかい?ワトソン君」 「わかりません」 「ふむ。まぁ仕方ない。私の崇高な悩みを理解しろというのが難アリなのだろう」 僕はそんな事で悩む事のほうが難アリだと思うのだけど・・・・・・・・・・・・。 「それより、僕はワトソンじゃありません。『はとむら』です。何度いえば気が済むんですか?」
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