適当探偵

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「いやいや、君はワトソン君だよ。私は運命を感じたんだ。君の履歴書を見たとき、君が助手になれば私もホームズになれる。そう感じたんだ」 「そんな事ありえませんよ。僕はホームズの友人でもなくただの日本人なんですから」 この人は僕の名前を読み間違えた。 履歴書を見た瞬間に、『おめでとう、採用だよ、ワトソン君』と言って手を差し出したのだ。 面接に備えていろいろと考えていた僕はわけがわからず固まってしまった。 何が起こったのかもわからなかった。 『羽戸村』確かに読み方を変えればワトソンになるかもしれないけど、普通は人名に遣われている『村』を『ソン』とは読まない。 自分だってこのことには気づかなかった。 「しかし、私は君を採用した瞬間にビビッと名案を思いついてしまったんだよ」 「・・・・・・・・・・・はぁ、どんなものですか?」 嫌な予感から目を逸らして僕は先を促した。 「最近、依頼が全くと言っていいほど無い上に、家賃は2ヶ月滞納、君の給料は100パーセントカットの状態なのだが、この名案を使えば一気に支払う事が・・・・・・・・・」 「ちょっと待ってください、その前に辞職願い書きますんで」
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