適当探偵

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僕は万年筆を机に置いて代わりにさっきの石原さんの資料を手に取った。 石原さんの奥さんの写真や、一応の日ごろの行動について書いてあった。 「それにしても、大したもんですよね」 先生の案を試してから、依頼件数は驚くほど増えた。 0だった依頼がこの一週間だけでもう2桁になっている。 先生がしたことといえば、たった200枚のチラシを作って投函しただけだった。 「だが、ある意味では寂しい繁盛ともいえるがな。こればかりはどうしようもない」 先生が言っているのは、たぶん依頼者がすべて男であることだ。 「女性が恋しいんですか?」 「うむ。できれば幼いくらいに若い娘が」 「やめてください。犯罪の匂いがします」 「失礼な。私は人助けがしたいのだよ。幼いくらい若い娘の人助けを」 「なにが人助けですか。この人でなし」 「ひどい」
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