†シェーマスのおみやげ†

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「ちっくしょ~課長のヤツ、あんのババアに任せるなんて」 公安局最上階 レストラン「ネルディア」内。 アオイとレイナスは一緒に遅めの朝食を取っていた。と言っても任務終了時恒例の『飯ごちジャンケン』で珍しくレイナスが負けてアオイに奢るだけなのだが。いつもケンカばかりしているが、基本的にプライベート以外は常に行動を共にするのが彼らの変わった所だ。 「ネルディア」はこの小惑星ラ・ファディムに生息する花の名前で『誠実』を意味する。尖った花弁が特徴的で真っ直ぐに伸びる姿は美しく、凛々しい。店内にも赤、青、黄のネルディアが色とりどりに飾られている。 「マジであんのババア最近イヤミ増量してやがる。おい、聞いてんのか?」 黙々とパンと肉を次々平らげていく。 「ふぃひふぇひふ」 「何言ってるかわからん」 レイナスは美味しそうに次々と皿を空にした。 「ババアと言うのは俗らしいので嫌だが、確かに最近アルフィーヌ女史の悪口は悪化の一途を辿っているな」 「だろー?たかが器物破損ぐらいで二時間も長々と説教するか、フツー?」 レイナスの言ったアルフィーヌ女史とは公安局の経理課 被害届担当の部長である。本名はアルフィーヌ・イアンケスナー。32歳、独身。非常に生真面目な性格でアオイやレイナスのように人の迷惑や後先を考えず行動する人間を目の敵にしている。いつも公安局の制服を隙無く着こなし、それなりに美人たがなにしろ性格が性格なものなので皆に恐れられている。 その彼女にアオイ達はついさっきまで説教されて始末書を書かされていたのだ。日頃の行いが悪いだの、後先考えないから他人様に迷惑をかけるだの、いつも課長からも口酸っぱく言われている事をまたここで聞くのかという程二人は経理課の副部長室の常連なのだ。
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