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そんな抵抗も虚しく男は少女の顎を掴んで顔を近づける。
男は気味の悪い声で少女に囁いた。
「キミももうすぐ良いところへ連れて行ってあげるね。僕とずっと一緒にいられる天国へ――」
男は少女の首筋目掛けてナイフを上に上げる。
もうダメだ、襲い来るはずの恐怖から強く目を瞑った少女の耳に、ドカンという爆音が響いた。
襲い来るはずの痛みがなく、恐る恐る目を開けるとそこには破壊された扉と二人の男女。
「なんだ――、誰だお前ら!」
男が声を荒げると二人は素早くこちらに近づいてきた。
一人は金髪と武骨な眼帯をした男ともう一人は長い青銀の髪を垂らし銃を握る女。いずれもまだ年若い感じだ。
「――今、誰かと聞いたか?知りたければ名乗ってやる」
青年はニヤリと笑って続けた。
「天下の公安局機動隊特殊一課、アオイ・ライファルト・シキ」
男は少女にナイフを突きつけようとする。その隙を見逃さず女が男の右手目掛けて射撃。ナイフは音を立てて落ちた。
「同じくレイナス・リンヴォーク」
男は撃たれた右手を押さえながら青年に向かっていく。
青年はかかって男を軽々と受け止め、背負い投げした。
「ハリス・ソイド。連続少女誘拐・殺人の疑いで逮捕する」
傍らに立っていたレイナスが男に手錠をかけた。
アオイはハイ、令状と言って一枚の紙を男の眼前に笑顔で突きつけた。
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