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「アオイ、また減給だって?可哀想に」
はぁーあと大きくため息をつきデスクにつくアオイに一人の青年が話しかけてきた。
「うるせぇ。てめぇには関係ねぇ」
アオイは不機嫌そうに制服のジャケットの胸ポケットから煙草を取り出し火を点けた。
青年はからかうようにアオイへ視線を向けると、隣の席のレイナスに話しかけた。
「レイナスも大変だねぇ。コイツみたいのがパートナーで」
「全くだ。さっさと奴とオサラバしたいものだな」
レイナスはレイナスで先程の事件の報告書を書きながらフッと笑った。
「そーゆーレイナスさんもしっかり減給受けてたけど?」
アオイはイヤミたっぷりにレイナスに返す。
「ふっ…わかってないな、馬鹿が。私はお前なんかよりよっぽど優秀だから減給程度では貴様のようにへこまんのだ」
自信満々に言ったレイナスはアオイの次の一言で柳眉をピクリと動かした。
「簡単に言えば状況の理解出来てない馬鹿ってことだな」
「なんだと?それは私を遠回しにバカにしているのか?」
「遠回しどころか真正面直球ストライクゾーンど真ん中でバカにしてるぜ」
アオイがくくっと笑う。
「上等だ。やるか?この貧乏性」
「やってやろうじゃねぇか、怪物女」
――パートナーであるにも関わらず、口を開けばすぐケンカする二人は公安局でも有名だった。特にその度が過ぎたケンカは止めに入れば死者が出る予想が出来るくらいひどい。
しかしその癖事件に関してはいつもなら考えられないくらいの名コンビっぷりを発揮し、チームワークも抜群だから不思議だ。故に二人は公安局一の『実力派兼迷惑』コンビなのである。
「君たち~…」
今にもとってかかりそうな二人にステロスは低い声で静かに怒鳴りつけた。
「ケンカしてる暇あったらさっさと仕事しなさい。でないと今度こそ減給一年」
それを聞いた二人は先程までの険悪な空気はどこへやら、180度変わって
「了解!」
と答え席についた。
ステロスの他に回りにいた局員全員がホッと胸をなで下ろした。
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