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『ごめんなさい!』
こういうときはとりあえず謝る。
平謝りでも続けていれば、そのうち母親は怒るのに疲れて寝てしまうと予測して。
返信しないと怒るので、早打ちして。
私はメールを早く返さないと怒る人がまったく理解できないので、はっきり言って迷惑なのだが……。
『レオは捨てたからね!』
まずい、本当に捨てたのか?
本格的にやばくなってきた。
なんてことだ。
正気か?
『ごめんなさい。これからもちゃんと面倒見るから捨てないで!』
前にもこういうことがあった。
"レオは捨てた"という内容のメールを受信したのはJRの電車のなか。
そのときだって私は仕事でへ行く途中だった。
慌てて引き返して家に戻ったら、レオ、私の愛猫はキャリーケースに入れられてベランダに放置されていた。
騙された気分だった、それ以来自宅なのに慎重に行動するようになった。
だから、今回ももしかしたら"外に出した"のは嘘なのかと思った。
だが、家に電話すると妹の千穂が出て『レオ追い出されちゃったよ……』と言った。
『外で千穂が泣きながら探してるよ』
ふざけんな!
悠長にメールを送ってくんな!
だいたいお前のせいでこんなことになってんじゃんか!
そう電話で怒鳴ってやりたいのをぐっと抑える。
まだ一人暮らしのあてがない以上、今すぐ猫とともに追い出されるのは困る。
とにかく、今は妹の捜索だけが頼りだ。父親はまだ仕事から帰宅していないらしい。
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