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「君、ゆずるだね?」
顔を上げると、知らない男が自分を見下ろしていた。
知らない男。
だが、一目で分かった。
あいつだ。
幼いゆずるは男を睨み付けた。
男は涼しい顔で立っている。
細い糸のような髪は明るい茶色。
瞳は暗い茶色だが、光の差す角度によっては黄金色にも見えた。
スッとした鼻筋はやや日本人離れしており、唇は薄い。
男のくせに眉は細く長い。
また、男のわりに身体の線も細く、スラリと背が高かった。
似ていた。
自分に。
似ていると感じて、ますます嫌悪を感じた。
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