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君が消えてしまう…。
まだ何も伝えてないのに…
まだ…一緒に居たいのに…。
―*―
『もう良い!喋りなさんな…気持ちは、充分分かった…!俺も…桜花が好きじゃった…笑った顔とか、歌うとことか…俺は、桜花に逢えて嬉しかったんじゃ…。』
稚兎瀬は桜花を抱き締めたまま言った。
「…あり、がとう…嬉しいな、両想いだった…んだね、ごめん、もう…行かなきゃ、逢えて嬉しかった…これから、は…桜を見て、思い出して…?…じゃあ、ね…。」
桜花がそう呟いた瞬間、稚兎瀬の中にあった温もりが消えた。
すると、桜の花が風に乗って散り始めた。
桜が散る姿はとても綺麗で、踊っているかの様。
稚兎瀬は、突然の別れに泣きじゃくった。
『桜花…!…お前の事は…忘れんから…!毎日、この丘に来る…また…逢えたら…』
その言葉を最後に、稚兎瀬はその場に倒れた。
翌日、稚兎瀬が目を覚ますと病院に居た。
長い間雨に打たれた為、並木道に倒れていたのを発見されたそうだ。
親に心配されたが、稚兎瀬の耳には入ってこない。
『…並木道、丘の上に居ったはずじゃが…まさか、な』
稚兎瀬は小さく呟いた。
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