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元気がない時の君の歌は悲しそう。
君が元気な時に歌ってると歌は嬉しそう。
―*―
『そうやったんか…桜を眺めながら桜花の歌か、良いのぅ。』
稚兎瀬は疑う事なく信じ、今朝の歌と目の前にある桜を頭の中で想像していた。
「そう、かな…私、歌好きだけど…聞かせられる程の、歌唱力は持ってないよ…?」
照れた様に笑いながら桜花が答えると、稚兎瀬が驚き桜花の肩を掴むとこう言った。
『何じゃと?!桜花の歌は皆に聞かせた方が良いんじゃ!!透き通った声で、皆の心に響くんじゃぞ!?…すまん、取り乱した』
肩に込められた力に、桜花が顔を歪めていたのに気付いたのか、稚兎瀬が謝罪をする。
「ん…気にしないで、私が…稚兎瀬の癇に触る事を…言ったのが悪いんだから。」
桜花は相変わらず痛そうにしていたが、「大丈夫だから」と笑った。
『ホントすまん…明日も来て良いかのぅ?』
「いつでも…来て良いよ、桜の木の上に座ってる…から」
そう言って微笑んだ桜花に、稚兎瀬は鼓動が高鳴った。
『あ、ありがとう…じゃ、じゃあまた明日来るわ!』
そう言って走り去った稚兎瀬の様子に桜花は首を傾げた。
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