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頭の中で携帯のアラームが駆け巡る。
―うるさいな…
布団の中から手を伸ばし慣れた手つきで携帯を弄りアラームを止める。
「六時半か…」
―…また、あの夢…一体何なんだろう…
少しだるい体をゆっくり起こし欠伸をする。
カーテンを開けると外は爽快の青空。
「嫌な一日がまた始まる…」
そう呟くと布団から出た硝瑚はリビングへ。
ちょうど母が朝食の準備をしていた。
「おはよう」
「あら、今日は早いわね」
「朝礼があるから」
そう言いながら椅子に腰掛ける。
三年前、両親は離婚し今は母と二人きりの生活をしている。
私は、藤巻 硝瑚、13歳。
市内の中学に通う、ごく普通の中学生だ。
朝食を10分で、平らげ鞄を片手に家を出る。
近所の人との挨拶を交わし、向かう先は学校ではない。
お気に入りの場所で、そこで昼まで時間を潰すのだ。
学校へは、給食を食べに行くようなもんで授業は極力出ない。今日分の授業内容は夕方、みんなが下校した後、直接自分で先生に聞きに行く。
授業に出ても、周りがお喋りして勉強どころではないから。
それに…
クラスメイトが嫌いだから、虐めがあるから。
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