序章

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私の、お気に入りの場所。学校とは正反対にある大きな公園。 そこの端にある屋根の付いた小さなベンチ。 「…なんだお前、まだいたのか」 硝瑚の視線の先には、ベンチの下に、ちょこんと座っている小さな子猫がいた。 どこから来たのか知らないが、数日前から毎朝ここにいる。 お昼頃になると、いつもどこかへ行ってしまう。 まるで私みたいだなと、硝瑚は鼻で笑った。 「ニャー」 いつもの如く、子猫は硝瑚の足に擦り寄ってきて念入りにマーキングしてゆく。 懐いてくれるのは嬉しいが、毛が靴下に付くので正直うざい。 「今日は餌は持ってきてない、自分で探してこい」 その言葉が分かったのか知らないが、子猫は「ニャー」と、どこかへ去っていった。 ベンチに座り鞄から教科書を数冊取り出した。 数学、国語、英語、理科、社会 この5つの教科を午前中で終わらせる、これが、いつもの日課だ。 数学と国語の予習を終えると時刻は10時を回っていた。 教科書を一旦閉じ、思いっきり背伸びをする。 ふと、視線の先にある一本の大きな木の影から男の子が此方を、じっと見つめていた。
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