第一声

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「さてさて~では、ケーキを食べながらプレゼントタ~イム☆」  堀池が言った。  トップバッターは、元サッカー部副部長の日暮雅志。 「ったく、これのせいで俺の今月のバイト代パァになったんだから、大事にしてくれよ」  ――そりゃぁ言い過ぎじゃねぇの~……サンキュ。  次は佐藤。何故かニヤケ気味。 「紺野君の好きそうなものだからね」  ――ホントかよ~嫌いなモンだったらマジ怒るかんな~……サンキュ。  元吹奏学部部長の渡部香織。 「おめでと」  ――って、短いなぁオイ~……サンキュ。  元サッカー部部長&元47代目生徒会長の稲田紘祐(こうすけ)。こいつは苦笑気味。 「大学サボってて留年(ダブ)るなよっ」  ――大丈夫だって~そこらへんはうまくやってっからよ~……サンキュ。  元美術部副部長の宮本恵理。 「いろいろと頑張れ!」  ――なんか投げやりだなぁオイ~……サンキュ。  そして、堀池。 「車だったらいつでも貸すからよぉ」  ――お~そいつは頼もしい限りだな~……サンキュ。  最後に、元美術部部長で高2の時英文弁論大会県予選で共に敗退し現在の俺の恋人である西元美保。 「おめでとう」  ――ったく、朝っぱらから電話してくんなよな~……有難う。  美保が俺に渡した掌サイズの包み。  他のメンバーにも中身はピンと来たらしく、ヒューヒューとはやし立てる(やり方が古いよ)。  彼女は顔を赤くしながら宮本達のもとへ戻った。  見事に肩書き揃いのメンバーである。  ……これが、俺の記憶にある20歳の誕生日である。
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