繋がりの向こう側で

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 午後5時。  いつの間にかあの憂鬱な土砂降りは止んだようだ。  窓から夕焼けが見え、思わず目を細める。  藍梨が外へ出ようとしていたので、慌てて玄関へ向かう。  どうやら、近くの公園で夕焼けをのんびり眺めようと思ったらしい。  折角玄関まで来たので俺も行くことにした。  ドアの鍵を閉める。  ジーンズのポケットにしまおうとすると、彼女は俺の右手を止めた。  そして鍵を奪い、自分のバッグにしまい込む。  まぁいいだろう。  そろそろそんな感じがしていたし。  夕焼けは案の定綺麗だった。  おまけに、細いが、虹も出ていた。  藍梨は無邪気にはしゃぐ。  公園を通る数人の子供達と一緒に、虹の色を数えている。  彼女は不意に俺に顔を向けた。  微笑みながら、「帰ろっ」と言う。  帰るところは……俺ん家か。  もう沈もうとする夕焼けに後押しされて、俺達は手を繋ぎ、歩いた。    ~繋がりの向こう側で~fin.
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