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「おい、松本。そろそろ移動しないと授業に間に合わないぜ。早くしろよ」
羽柴に声をかけられ我に帰った俺は、二時限目の授業が行われる理科実験室へと行くために筆記用具と教科書を手に持った。
『……行かないほうがいいぜ』
なぜか胴体がくっ付いている血色の服を着たおっさんが俺に告げた。
「何してんだよ、早くしないと遅れちまうぞ?」
「黙れクソジジイ」
「え?」
「いやいや、なんでもないよ。早く行こうぜ」
しまった。使い分けは完璧にマスターしたと思っていたが、そうでもなかったらしい。
まさか、温暖な冬なのに北極でも生きて行けそうなほど重厚な服を着ているオッサンの言葉に反応するとは、まだまだ俺も修行不足らしかった。
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