恋の足音

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「……売れない芸人がよくやるコントみたいだな。」 「先生こそ、かなり失礼だと思います!前言撤回!!」 優しさのカケラもないし!! 「……ほら。立てるか?」 差し出された手に、少しためらいながら捕まる。 強い力で引っ張られた瞬間。 携帯が鳴った。 ……けど、私の携帯の着信音じゃなく。 「オレの携帯だ。内ポケットに入ってるから、出してくれないか?」 「……ええっ!?」 慌てて、ポケットに手を突っ込んでみたものの。いくら、かき回してみても、携帯らしきものが見つからない。 「……お前は人の話をよく聞け!内ポケットだと言っただろう!」 ぐいっと引き寄せられると、結城は素早く携帯を取り出した。 あ……危ない。今の……かなり危なかったよね。 抱き合う寸前……みたいになりかけたよね――――っっ!? し……心臓バクバク言ってるよ……。
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