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「お前なぁ!!イキナリ何だよ?……ったく、イミ分かんねーよ!しかも、だろうなって何?」
ゴホゴホと咳き込みながら、楓は呆れている。
私はそんな楓の反応を面白がりながら、ようやく目的地に着いた。
-KANON-と書かれた看板。
今はまだそんなに暗くないから、看板の電気はついていない。
そう、ここが。
この場所が、私の唯一の生きがい。
扉を開けて中に入ると……。
店の中は、コーヒーの香ばしい匂いでいっぱいで。チラッと見ただけでも、店の半分くらいはお客さんがいるみたいだった。
喫茶店ならではの和やかで……でも、ほんの少し寂しげな雰囲気で。
そもそも、私が用があるのは喫茶店の方じゃない。
……ということで、入口のすぐに脇にある階段を足早に駆け下りる。
「……おい!ちょっと待てよ!」
後ろを振り返ると。
楓が飲み終わったコーヒーの缶を手に、ゴミ箱を探している。
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