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「かすり…」
「彰くん…」
夜、二人の息がかかった声。
彰は毛布を頭まで被り、かすりはわずかに頭を出す。
「……。」
二人の間に少しの沈黙が生まれた。
その静寂をベッドの軋む音が破る。暗闇で彰が動いたのだ。
「すぅ…」
彰は息を整え…
「あ…」
かすりは微かに息が洩れ…
二度目の静寂。
時計の秒針が響くのがわかる。
その静寂を破るのは、
「「遊園地!!」」
と電話越しの相手に叫ぶ二人の声だった。
明日も学校だというのに懲りず、彰は深夜かすりと電話していた。
「じゃあ決まりね。今週の土曜、駅に9:00集合!」
「オッケー!まさか、かすりからデートの誘いをしてくるとはな~」
「いいじゃない別に…。なに?行きたくないの?」
「行きたいです!」
思わず毛布を蹴飛ばして跳ね起きる若い男の子。しかし誰も彰をうるさく言う人は現れない。
「よろしい。明日も…いや、時間的に日付変わったし今日も寝坊しないようにね」
「え~もう切るの~?」
「ダーメ。またヒロくんに迷惑かけるでしょ!」
かすりには見えていないが、彰は頬を膨らませて子どものように拗ねている。
「じゃあね、おやすみ彰くん」
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