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彰にとって、待ちに待った週末。
混雑した電車から投げ出されるように降りると、まわりも気にせずスキップして待ち合わせ場所まで向かう。
陽気に鼻唄を歌えるのは、愛しのかすりが待っているのがわかっているからだ。
遊園地に近づくにつれて、楽しげな音楽が彰の耳にも入ってきた。
「かぁぁすりさーん!」
低くビブラートを利かせた声が、園の入り口前で待っていたかすりの耳に届く。かすりも彰同様に、まわりを気にしないで手を振り返した。
「お待たせしました?」
「ううん、私もさっき着いたばかりだから」
と言いながら、チケットを手渡す。
「お!もうチケット買ってくれたの?サンキュー!!」
「さ!行こ!!」
かすりは彰の手を取ると、行列ができたチケットカウンターを横切って、遊園地の中に入っていった。
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