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由美達が会話していると、遠くからまた音が聞こえてきた。
先ほどの爆発音とは異なる音のようだ。
「なぁ‥なんか音が聞こえないか?」
その音に気づいた男子の一人が言う。
「ホントね‥この音ってもしかして‥」
「ヘリだよ!きっと救助に来たんだ!」
佐藤は安堵の笑顔を浮かべて言った。
そう、今度はあのヘリ特有の音だった。
ヘリの音がだんだんと大きくなり、体育館に居る生徒全員がその存在に気づいた。
一度静かになった体育館が再び騒がしくなる。
助けが来る。
皆そう思い、安心しきっていた。
「ねぇ、先生が研究所側の人間だったらやばいんじゃ‥」
由美が慌てて佐藤に言う。
そのことに佐藤も気が付き、あたふたとしだした。
「そ、そうだった。どうしよう」
佐藤があたふたしている間にもヘリの音は大きくなる。
だが、雷の明かりで時々見える教師達の動きに変化はなかった。
とうにヘリの存在には気づいているはずなのに‥
「ねぇ?先生達はやっぱ研究所と関係ないんじゃ‥」
「それならわざわざ停電させた意味がわからないよ」
佐藤が由美の疑問に答えた直後、再び雷鳴が辺りに轟いた。
それと同時に真っ暗な体育館が一瞬明るくなる。
由美と佐藤は見てしまった。
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