絶望

11/16
170人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
由美達が会話していると、遠くからまた音が聞こえてきた。 先ほどの爆発音とは異なる音のようだ。 「なぁ‥なんか音が聞こえないか?」 その音に気づいた男子の一人が言う。 「ホントね‥この音ってもしかして‥」 「ヘリだよ!きっと救助に来たんだ!」 佐藤は安堵の笑顔を浮かべて言った。 そう、今度はあのヘリ特有の音だった。 ヘリの音がだんだんと大きくなり、体育館に居る生徒全員がその存在に気づいた。 一度静かになった体育館が再び騒がしくなる。 助けが来る。 皆そう思い、安心しきっていた。 「ねぇ、先生が研究所側の人間だったらやばいんじゃ‥」 由美が慌てて佐藤に言う。 そのことに佐藤も気が付き、あたふたとしだした。 「そ、そうだった。どうしよう」 佐藤があたふたしている間にもヘリの音は大きくなる。 だが、雷の明かりで時々見える教師達の動きに変化はなかった。 とうにヘリの存在には気づいているはずなのに‥ 「ねぇ?先生達はやっぱ研究所と関係ないんじゃ‥」 「それならわざわざ停電させた意味がわからないよ」 佐藤が由美の疑問に答えた直後、再び雷鳴が辺りに轟いた。 それと同時に真っ暗な体育館が一瞬明るくなる。 由美と佐藤は見てしまった。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!