絶望

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「雷じゃない‥」 雷のせいで騒がしくなった体育館の中、由美がポツリと呟く。 「え?どういうこと?」 由美の近くにいた佐藤とその取り巻きは困惑顔で聞いた。 「アンタ達、見事に騙されてるわよ。音とこの停電に。 音が鳴った時、外光った?」 「そういえば‥光ってなかった気がする」 由美の問いに自信無さげに佐藤が答える。 「そう。外は真っ暗なままだった。 それなのにあんなに凄まじい音がした。 佐藤、アンタ頭良いからこれがどういうことかわかるわよね?」 「つまり、誰かが雷を装って意図的に停電させた、と。 さっきの爆発音のことも考えると‥良くない事が起きる可能性が高いよね」 佐藤の答えに由美は満足げに頷いた。 「流石佐藤! わたしと同じ考えね」 「てか相川さん‥急に頭良くなってない?」 遠慮がちに佐藤が問いかけた。 「わたし、普段バカだけど、こういう時は妙に頭が冴えるのよね~。 どっかの誰かさんは普段頭良いくせに、こういう時に使えないんだから。 カッコ悪いわね~」 「う‥」 由美の言うことが図星だったため、佐藤は何も言い返せなかった。
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