第Ⅰ章「彼の世の追及」

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碧い空、月の十字、雲の纏、儚い衝動、性愛な肉体、溢れる純血、黯い臓・・・ そして醜い人間達。 総てが私の元で焦がれるまでには耽美主義者が共存できる世界を創造することこそ最大の、そして最小の可能性であり希望の源だとしている。私が生まれたのはこの価値を見出すことだけなのかも知れないと彼は悟っている。 名は「貞久 武瑠」壱拾四歳の少年だ。学び舎の中ではどちらかというと明るいほう。目が悪いが眼鏡は掛けていない。焦げ茶色の褐色を帯びた眸に痩せ型の優しい頬ラインが印象的だ。彼の母は居ない、顔すらわからず、父子家庭がもう壱拾年程定着している。 父は大手企業に勤め、母が死んでから会社勤めはしていない。父と母方 の叔母、そして武瑠の参人で暮らしているため父はギャンブル、豪酒、女遊とそんな父親を持つ武瑠は哀れな少年と化していた。
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