カヨワセ

第一章

　
授業の始まりを告げるチャイムの音が、校舎の外まで鳴り響く。

そのチャイムの音を耳にし、茶色く染まった葉っぱが風に吹かれて舞い落ちる校庭を、急いで数人の高校生が駆けてゆく。

その中には秋風の吹くこの季節には似合わない汗を、額から流している者もいる。

教室の中では生徒が集まり、何やらざわついていた。

「今日、うちのクラスに転校生がくるらしいぜ」

「ホントに!?　相変わらず、貴大は情報が早いね」

日焼けで真っ黒に染まった肌で、ちりちりとした坊主頭の貴大と呼ばれた少年を中心に会話が弾んでいるようである。

彼はクラス一の情報通であるらしく、何か新しい情報が入れば、こうして生徒が集まって会話のやり取りをしている。

どうやら今日は転校生が来るので、その話題で持ち切りのようだ。

「転校生ってさ、男の子？　女の子？　めっちゃ気になる!!」

少し茶色みがかり、ふんわりとしたミディアムヘアの少女が、転校生の話に興味を示し食い尽く。