第一章

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  「明莉はホント、新しいもの好きだな」 貴大はクスリと笑いながら、続けて話す。 「転校生は男の子らしいぜ!! 良かったな、明莉」 「やったー!! 今度こそ彼氏つくりたいわぁ」 「おいおい……」 転校生が男の子というだけで無邪気にはしゃいでいる明莉を見て、貴大は呆れたような口調で続けて言う。 「転校生だったら誰でも良いのかよ。相変わらずお前は――」 そんな転校生の話題で持ち切りの教室に、キーンコーンという先程と同じ音色のチャイムが鳴り響く。 どうやら先程のは予鈴で、このチャイムが本鈴のようだ。 生徒達は会話を一時中断し、各々の席に座りはじめる。 その生徒達の顔は皆、期待に満ち溢れた笑みを浮かべていた。 本鈴が鳴る前はざわついていた教室が一気に静まり返った頃に、教室の戸が開く音がした。 その音と共に一人の男性が姿を現す。  
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