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「ヤバい!! 初日からいきなり遅刻じゃん」
汗だくになりながら、必死で草木を掻き分けているのは、先程の高校の生徒と同じ制服を着た少年。
彼は誰もいない、草の生い茂った道ならぬ道を駆けながら、独り言を発していた。
発言の内容からして、どうやら彼が例の転校生のようだ。
「てか、ホントにこの道が近道なの? 一向に学校らしき校舎が見えないけど……」
誰もいない草道で、またしても独り言。
辺りを見渡しても、人影などなかった。
それどころか、この草道を人が通った形跡すらほとんど見受けられない。
雑草は生え放題だし、木々も整えられておらず、落ち葉も一面に散っていた。
「ゴメン、ゴメン。頼りにしてるから、いじけないでよ」
少しの間隔を空け、彼は続けて言う。
「ホントだってば。君がいなければ僕、ここからどう進んだら良いか分からないしさ」
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