~記憶の断片~

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翼「行きたい所が有るんですけど…行っても平気ですか?」 本当はそこへ向かうつもりで真央の事を誘った。 真央の体を気遣い,無理そうならばまた今度誘おうと思っていた。 真央「平気だから向かって良いよ!!」 そう言われると,嬉しそうな表情をして速度を上げた。 真央「うわっ!!!;」 いきなり速度を上げられた為,後ろに体を持って行かれそうになった。 翼「!!!!;」 慌てて翼の体に後ろから抱き付いてしまった。 翼「き…急にスピード上げてすいません…!!;大丈夫ですか…?!;」 真央「だ,大丈夫…あたしこそごめん…!!;」 翼の体から手を離そうとしたが,手を押さえられた。 翼「……飛ばすんで確り掴まってて下さい…」 更に加速する単車を走らせ,真央はそのまま密着していた。 (……翼は一個下なのに…年上みたいだな……心臓が煩い…) 高鳴る胸を必死に押さえ,隣街の方面へ向かって行った。 翼「もうすぐ着きますんで後少し辛抱して下さい!!」 市街を通り過ぎ,森林に囲まれた山道に入った。 (…翼の地元だけど…何処へ行くんだ…?) 昼間だと言うのに,進んで行く度に人気は無く,車も全く走っていなかった。 坂道を登って行くと階段に突き当たり,単車で通れないので止まった。 翼「この上に行きたいんですけど…一緒に行って貰っても良いですか?」 真央「ここまで折角来たんだから勿論行くよ!!」 急な階段はずっと上まで続き,真央は途中で疲れて来た。 翼「…お…俺の手に掴まって下さい…!!;」 前を歩いていた翼は後ろを向き,顔を赤くして手を差し伸べてくれた。 (……優しいな…それに暖かい手……) 手を掴み,心に何かが引っ掛かりながらも階段の先を目指した。
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