~記憶の断片~

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新保「!!!拳が切れてますよ!!」 痛みは感じず,新保に言われるまで気付かなかった。 腕を持ち上げて見ると,血が腕の方へ垂れて紐に付いた。 真央「……?…何だこれは……」 紐を取って見ると,二本の内一本は赤い色に黒ずんだ染みが付いていた。 (……血の染みか…あたしの血……?) 「真央さん!!お巡りが此方に向かって来ます!!」 工事付近を偵察していた後輩が急いで戻って来た。 真央「…挨拶がてらにもう一度暴走するか!!!」 全員単車に又借り,旗を掲げた。 道路に出て態と遅く走っていると,パトカーが付いた。 「お前ら止まれ!!新しい族か!!!」 目の前で旗をちらつかせ,後輩逹は遊んでいた。 市街へ行くと,大勢のギャラリーが待ってましたと言わんばかりに,楽しそうにしていた。 コールを切るとそれに合わせて踊り,警察が近付くと一目散に逃走した。 新保「そろそろお巡り撒いて来いよ!!」 新保に言われ,後輩はパトカーを引き寄せ,その間に一同加速した。 少し走っていると先程の後輩も合流し,周りに民家の無い公園に向かった。 公園は物凄く広く,深夜だった為,自分逹以外他に一人も居なかった。 各自特攻服の上だけ脱ぎ,単車から服を出して羽織った。 真央「一応解散だけど,残りたい奴は残れ!!」 全員「はい!!お疲れ様でした!!」 新保「真央さん!!うちんちに行きましょうよ!!」 真央は一同と別れ,一緒に新保の家に行った。 新保の家は仕事で滅多に家族が居なく,広い家を殆ど一人で暮らしていた。 新保「近くに売ってんで酒とつまみ盗って来ますね!!」 原付きで向かったのか,外から遠ざかる音が聴こえた。 (……新保はあたしの為に良く動いてくれるな……) 部屋には,真央の為に用意されたシンナーが大量に置かれていた。
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