-五月蠅い-

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ただ… 犯した罪は姿形を変え、 忘れた頃に必ずや 貴方のもとへ返るのです。 自ら気付く事にさえ 億劫さを覚えた あれは初夏 少しずつ夏は本格さを増し、あたしに気怠さを容赦なく覆い被せた。 『五月蝿い』と書いて『ウルサイ』 誰がこんなあて字を考えたのだろう。 窓際の雨露はあたしに憂欝さと、拭き取らなければならないという手間を与えた。 雨露に手間を取らされていると、異質なオレンジ色のケータイがけたたましく叫びだした。本当は開くのが嫌。 ------------------- From.♋ Subject.無題 ------------------- 正直呆れたよ。 END 他にもダラダラ書いてあったけど。知らない。覚えてない。 意外にあたしが誰かに『呆れ』られるのは早かったみたい。 そのような報告は不要。 要らない。 丁寧に雨露を拭き取った窓に新しい雨露が滴れる。外はまた雨。 犬の散歩にも行けないし、布団も干せない。 意味を成さない 無数の苛立ち。
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