-五月蠅い-

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想ったままの言葉で返せたらどんなにいいかと思ったけれど、争いさえ気怠いあたしにはもうそんな気力もない。 なるべく波風を立てぬ様に返す。 もはやあたしの言葉ではない。 何処かの誰かの宇宙語だ。 もう慣れてしまった。 貴方の批判も 見下しも。甘えも。 へり下る事は一時的に自分を楽にする覚醒剤みたいなもの。 ね、 満足? メールを返した後、直ぐに電話を掛ける。無論、貴方のケータイを鳴らす訳では無い。 無常に響き始める呼び出し音。あたしには何故か心地いいのだ。 1コール… 2コール… 3コール…… 4コー… 『……んぁ…もしもし…』 夜勤明け、君の馴染みのある声。安堵するのが自分でも分かる。まだあのときのまま。 『あ、寝てた?』 『ぅん…どしたぁ?』 『ごめんねぇ。今日暇?じゃなかったら明日トカ』 『暇っちゃ暇。特に用は無いよ』 『じゃああたしと遊んでくれてもィィよ』 『何だよそれ💧』 飾らない。装飾する必要のない真っさらなあたしがそこには居る。 こんなたわいの無い会話を無数に繰り返し、あたしと君は笑い合う。 特に話は無いんだけど、話したい事が次第に増えて笑い合える。
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