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「自分が
排斥されている
少数の側じゃなくて、
排斥している
多数の側に
属していることで、
みんな
安心できるわけ。
ああ、
あっちにいるのが
自分じゃなくて
よかった
って。
どんな時代でも
どんな社会でも、
基本的に
同じことだけど、
たくさんの人の側に
ついていると、
面倒なことは
あまり考えずにすむ」
「少数の人の側に
入ってしまうと、
面倒なことばかり
考えなくちゃならなくなる」
「そういうことね」
と
憂鬱そうな声で
彼女は言った。
「でも
そういう環境にいれば
少なくとも、
自分の頭が
使えるようになるかもしれない」
「自分の頭を使って
面倒なことばかり
考えるようになるかもしれない」
「それは
ひとつの問題よね」
「あまり深刻に
考えないほうがいい」
小説「1Q84
(著・村上春樹)」
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