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学のこんな冗談の通じない、自分勝手なところも嫌いじゃない。
むしろ、好きだ。
学を好きだと認めてから、新しい自分を見つけたみたいで嬉しかったことを思い出す。
「なに、ニヤニヤしているんだよ」
「別にぃ~」
思い出し笑いをしている俺を、学は疑いの目で見ていた。
「変な奴。ホラ、さっきお前がサボッた教科のノート。貸してやるよ」
「おっ、サンキュー」
学は、口が悪くて冷たく見えても、本当はすごく優しかった。
授業中に寝ていた俺に、学が教科書を読むページを教えてくれたのが、仲良くなるきっかけであった。
学は、不真面目な俺にノートを貸してくれたり、音楽の好みが似ているため、CDの貸し借りをしたりと、良い友人関係が続いていた。
だけど、いつからか学を友人以上に好きになってしまっている自分に気付いた。
学に自分の気持ちがバレたら、この友人関係はすぐ崩れる。
今みたいに、学の隣に入られるのならば、俺はこのままの関係で満足していた。
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