だれにも渡さない。

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「ねぇ、くれよソレ」 また、このパターンかい。 周りには明らかに、柄のワルそーなオニーサン達がぐるりと僕を囲んでいる。 道を歩いているところ、ビル間の細い路地裏に呼び寄せられて、押し込むように誘導されたのだ。 「なぁ、聞いてんのかよ」 「あのー、お金は無いんですが?」 もちろん、もう反抗する気はナッシング。普通の高校生の僕には全員ぶっ飛ばすのは無理っす。 「あー? オレ達が欲しいんはてめえの首根っこに掛かっている。 アクセだよ、なかなかイイもんジャね?何処のブランドよ?」 そう、言って金髪の男は僕のネックレスを指さした。 僕はネックレスを男たちから隠すように握り締める。 所々くすんでいるがチェーンの輪一つ一つに細かい装飾。そしてネックレスのトップには紅い石。 そうこれは皆が喉から手が出るほど欲しがる、僕の宝物。 僕がこれを貰ってから、博物館や大富豪なんかが是非とも売って欲しいと詰めかけたり、全私財を投げ売ってでも欲しいと言う人が絶えない。 勿論、僕は売る気やあげる気は毛頭無いが。 「………ダメです」 「じゃあ、力づくで……」結論早い!駄目なら力づくって……    だんだんと輪が小さく為って行くのを確認すると、どうやらマジでぶん取る気らしい。 「寄越せえぇぇぇ!」 その時、声が聞こえて来た。 ――そこ退くヨロシ、ドサンピン。ソレ私のネ。
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