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「うぇ!?」
「うわぁ!?・・・っと!」
かなりの勢いで駆け込んできた男子生徒は、階段中央に座っている眞乎に気付き、
そのまま――5段目あたりに座っている眞乎ごと――飛び越えた。
降りではなく、登りを。
「悪ぃ!じゃっ!」
一瞬で謝った生徒は、そのまま階段を駆け登りすぐに見えなくなる。
呆然とした眞乎だが、何か嫌な予感がして階段の中央から柳の隣へと避けた。
その、直後。
「いい加減にして下さい!本気で怒りますよ!?」
怒号の声(敬語のせいで多少和らいでいる)が響き、もう1人廊下を曲がって来る。
後から来た男子生徒は、3人組に目もくれず先程通った生徒を追おうと階段を登った。
だが、階段を登りきる前、3人組の間を通った瞬間意外な人物が声を上げた。
「葵!」
「え・・・?辰!?」
名前を呼ばれた生徒は足を止め、困惑したような目で辰を見た。
その目は、透き通るような青。
「何で、ここに・・・?」
「それはお前、こっちのセ―・・・」
「葵のバ~~~カ!」
「あぁもぅ!ごめん辰、また後で!」
生徒はそう言い残すと、“バカ”と言った生徒を追うために階段を駆け登って行った。
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