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2人組が転校してきた週の体育。
2クラス合同の体育で小さな事件が起こったのである。
「だりぃ・・・うぜぇ・・・」
「いつまでも毒吐かないの!いいじゃん、バスケなんだし」
「最初サボるから頑張れよ」
「Σ宣言しないでよ!」
体操服に身を包んだ3人は、三者三様に授業に出ていた。
その隣の列には、テンションが上がっている悠を笑顔で見ている葵がある。
そう、2人が転校してきたのはA組なのだ。
試合内容は、AとBそれぞれでチームを作りクラス内で対決。
1位になったチーム同士がクラス代表として最後に当たる・・・といったルールだ。
「辰・・・出ないの?」
「最終戦だけ出てやるよ」
「めんどくさがり!柳、行こ!」
「ん」
B組は眞乎の暴走と柳のちゃっかりしたシュートでそのチームが余裕勝ち。
嬉しそうに辰のもとへ戻る眞乎と、柳の耳に歓声が突き刺さった。
「キャー!」
「可愛いー!」
「な・・・なぁに~・・・?」
耳を押さえながらコートを見た眞乎は、直ぐに納得した。
「ほらよっと!」
身長関係なしで次々とシュートを決める悠の姿に、隣のコートでバレーをしていた女子が歓声を上げたのだった。
眞乎と柳の時も凄かったが、改めて聞くと女子の声は耳に痛いものである。
「スゴいねぇ、あの子」
「そうだね」
「はっ・・・」
感心する2人を他所に、辰だけがバカにするように鼻を鳴らした。
「意気がってるだけじゃねぇか」
「辰~?」
「柳、眞乎、最終戦俺にボール回せ」
「・・・何、する気?」
柳に問われた辰は意地の悪い笑みを浮かべ、コートではしゃぐ悠を見た。
「思い知らせてやんだよ、調子乗ってんなってな」
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