衝突

2/6
前へ
/67ページ
次へ
2人組が転校してきた週の体育。 2クラス合同の体育で小さな事件が起こったのである。 「だりぃ・・・うぜぇ・・・」 「いつまでも毒吐かないの!いいじゃん、バスケなんだし」 「最初サボるから頑張れよ」 「Σ宣言しないでよ!」 体操服に身を包んだ3人は、三者三様に授業に出ていた。 その隣の列には、テンションが上がっている悠を笑顔で見ている葵がある。 そう、2人が転校してきたのはA組なのだ。 試合内容は、AとBそれぞれでチームを作りクラス内で対決。 1位になったチーム同士がクラス代表として最後に当たる・・・といったルールだ。 「辰・・・出ないの?」 「最終戦だけ出てやるよ」 「めんどくさがり!柳、行こ!」 「ん」 B組は眞乎の暴走と柳のちゃっかりしたシュートでそのチームが余裕勝ち。 嬉しそうに辰のもとへ戻る眞乎と、柳の耳に歓声が突き刺さった。 「キャー!」 「可愛いー!」 「な・・・なぁに~・・・?」 耳を押さえながらコートを見た眞乎は、直ぐに納得した。 「ほらよっと!」 身長関係なしで次々とシュートを決める悠の姿に、隣のコートでバレーをしていた女子が歓声を上げたのだった。 眞乎と柳の時も凄かったが、改めて聞くと女子の声は耳に痛いものである。 「スゴいねぇ、あの子」 「そうだね」 「はっ・・・」 感心する2人を他所に、辰だけがバカにするように鼻を鳴らした。 「意気がってるだけじゃねぇか」 「辰~?」 「柳、眞乎、最終戦俺にボール回せ」 「・・・何、する気?」 柳に問われた辰は意地の悪い笑みを浮かべ、コートではしゃぐ悠を見た。 「思い知らせてやんだよ、調子乗ってんなってな」 .
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加