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4月
―陸紅学園高等部―
今日から新学年が始まろうとしている。
これから高等部入学式もとい、進級アセンブリ(集会)が行われようとしていた。
2・3年は第一体育館へと向かい、1年は指定された第二体育館に集められた。
「A組集まりました」
「E組集合完了しました」
「C組オッケーです」
「D組も大丈夫です」
「F~Jはさっき聞いたな。ん?Bはどうした?」
1学年主任は各クラス担任から受けた人数報告の確認をしていた。
問われたB組担任・鈴鹿京一(スズカ キョウイチ)はひとまず報告する。
「それが・・・3人ほど男子が来ていないんです」
「まだか?まったく・・・あと数分で出発しないと遅れるぞ」
「それが・・・その・・・」
担任が言いづらそうに言葉を濁した瞬間、鈍い大きな音と共に第二体育館の扉が開いた。
「辰・・・うるさい」
「あぁ?開きゃあ何でもいいだろ」
「良くないと思うケドなぁ~」
呑気な、まるで集中した視線など全く気にもしていないというほど(実際していないのだろうが)呑気な会話が響いた。
「コラァ!貴様ら早々遅刻かぁ!」
「しゅ・・・主任!待っ・・・!」
「あぁ゛?」
鈴鹿が慌てて止めようとするが、先頭で入ってきた生徒が主任の胸ぐらを掴み上げた。
「くっ・・・!?」
「何か言ったか?あ?俺耳遠いから聞こえなかったぜ。もっぺん言ってみろ」
さらに締め上げようとした生徒の頭を後から入ってきた生徒が叩く。
「イテッ」
「辰・・・いい加減にしなよ」
「・・・へ~へ~、わかったよ」
素直に手を離した生徒は、興味を無くしたというように叩いた生徒の側へ行く。
呆気に取られた担任と、掴まれた胸ぐらを押さえる主任に、最後に入って来た生徒が近付いた。
「せ~んせ、大丈夫?ゴメンね?」
「あ、あぁ。大丈夫だ・・・」
「眞乎!」
「はいは~い♪ほんじゃに、先生」
生徒は軽く手を振ると2人の方へと小走りで向かった。
「主任・・・」
「まさか、あいつらが・・・?」
「はい。その・・・まさかです」
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